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「大手塾の授業についていけない」──そんな子にこそ必要な学びとは?

はじめに

首都圏を中心に広がる大手進学塾、たとえばサピックス、日能研、四谷大塚などは、
その合格実績の高さとブランド力から、多くのご家庭に選ばれています。
しかし一方で、入塾後に思わぬ「壁」にぶつかるご家庭も少なくありません。
 

  • 「授業が速すぎてついていけない…」

  • 「宿題の量が多すぎて、親子ともに疲弊している」

  • 「質問できる雰囲気じゃない」

  • 「つまずいてもフォローがない」

こうした声は、塾業界では“あるある”で、私もカウンセリングの際に、幾度と相談された事案です。
この記事では、大手塾の授業についていけずに苦しんでいるお子さまや保護者の方に向けて、
なぜこのような状況が起きるのか、そして本当に必要な学びとは何かを、プロの視点からお伝えします。
 


第1章:「通わせたのに伸びない」──原因は本人ではない

まずお伝えしたいのは、お子さまの力不足が原因ではないということです。

大手塾のカリキュラムは「できる子」向けに設計されています。
つまり、

  • 学習スピードが非常に速い

  • 単元の理解に“予習前提”がある

  • テスト成績によるクラス分けで競争が強い

このような環境では、「基礎をじっくり固める」ことが難しくなりがちです。
その結果、本来であれば理解できる子でも、

  • 「何をどう質問していいか分からない」

  • 「分からないところが分からない」

  • 「置いていかれたことに気づくのが遅い」

という状態に陥ってしまうのです。

保護者としては「せっかくお金も時間もかけたのに…」という焦りが出るかもしれません。
しかし、実はそこにこそ“伸びしろ”が眠っています。
 


第2章:大手塾で「置いていかれる子」に共通する特徴

多くの子どもを見てきた中で、大手塾でつまずいた子にはいくつかの共通点があります。

1. 「理解するスピード」が遅いのではなく、「理解のプロセス」が丁寧

このタイプの子は、

  • イメージ化しながら考える

  • 一度つまずくと前に進めない

  • 納得しないと覚えられない

といった特徴があります。これはむしろ**“深い理解”の芽を持っている証拠**なのです。

2. 「できる/できない」のラベリングに敏感

大手塾では、テスト結果がすぐに成績やクラスに反映されるため、「自分はできない子なんだ…」という自己評価が固定化しやすくなります。このようなネガティブな自己認識は、やがて学びへの拒絶につながります。

3. 「質問していい雰囲気」に弱い

集団授業では、積極的に発言したり質問できる子が前に出ます。内向的で、じっくり考えるタイプの子は、「分からないけど質問しにくい…」という環境に押しつぶされてしまうこともあります。
 


第3章:大手塾の指導でこぼれ落ちる“学びの本質”とは?

大手塾は確かに、合格実績に直結する指導をしています。
しかし、そのスピードや内容についていけるかどうかは、「地頭」や「やる気」ではなく、
**“土台ができているかどうか”**にかかっています。

つまり、

  • 読解力(文章を正確に読む力)

  • 思考の順序(論理的に考える力)

  • 問題をかみ砕いて理解する力

これらが未成熟なまま、演習中心のハイレベル指導を受けても、

「分かったふり」で進む → テストで解けない → 自信喪失 → 萎縮

という悪循環に陥ってしまうのです。


第4章:エテナが目指す“学び直し”の意味

我々は、こうした“置いていかれた子”を責めたり、ただ補習するのではありません。
大切にしているのは、

  • 「どこでつまずいたか」ではなく、「なぜつまずいたか」を一緒に考えること

  • 問いかけによって、自ら気づく力を引き出すこと

  • 対話によって、思考の順番や整理の仕方を育てること

子どもにとって、「理解できた!」という瞬間は何よりの成功体験です。 その体験を、“自分の力で得た”と感じられたとき、

子どもの目が変わり、態度が変わり、学びが変わります。

大手塾では難しい、こうした**“気づきの学び”**が、我々の強みです。


第5章:誰にも邪魔されない「学びの土台」を、今こそ育てる

  • 「大手塾では遅い子だと感じた」

  • 「塾に行くのがストレスになっている」

  • 「子どもが自信を失ってしまった」

そんなご家庭にこそ、我々のような学び舎が必要です。

焦って“速さ”や“量”を追うのではなく、 **「本当の理解」「考える楽しさ」「自分で気づく喜び」**を育てる──

これは決して遠回りではなく、 最も着実で、最も強固な合格ルートになると、私たちは確信しています。


おわりに:子どもは変われる、環境と指導で。

今、学習に苦しんでいるお子さまがいたら、それは「能力がない」のではなく、 “合っていない場所”で“合っていないやり方”を続けているだけかもしれません。

 

  • 一人ひとりの学び方に寄り添い

  • 小さな気づきを大きな自信に変え

  • 点数よりも“考える力”を育てる

そんな教育を通じて、お子さまの可能性を広げています。

「ついていけない…」と感じた今こそ、 学び直しではなく、“学び直すべき理由”に出会うときです。

 

「計算はできるのに、文章題が苦手な子の共通点とは?」

はじめに

「計算はスラスラできるのに、文章題になると手が止まる」──この悩み、実は多くの小学生の保護者から聞かれる声です。計算力と文章題の読解・解答力は、まったく別物。

この記事では、なぜこのギャップが生まれるのか、どんな子どもに共通して見られるのか、そして克服のために家庭や塾でどのようなアプローチが有効かを詳しく解説していきます。


第1章:計算力=算数力ではない

計算が得意な子は、たいてい学校のテストでも高得点を取ります。「九九は完璧」「筆算もそこそこ」
──これらは確かに“力”ですが、それだけでは算数全体を乗り越えることはできません。

文章題とは、「日本語という情報」+「数学的処理」を融合させる高度な知的作業です。
つまり、

  • 文章から必要な情報を読み取り

  • 問題の条件を整理し

  • 計算式に落とし込んで

  • 解答にたどり着く

という一連の“思考の流れ”が必要なのです。

このとき、単なる計算力ではなく、以下のような力が問われます:

  • 読解力(ロジカルリーディング)

  • 論理的思考力

  • 仮説を立てる力

  • 表現力(式にする力)

つまり「文章題が苦手=国語と算数の複合スキルに課題がある」可能性が高いのです。


第2章:文章題が苦手な子に共通する3つの特徴

1. 言葉のイメージができていない

たとえば「みかんが6個入った袋が4つあります。全部で何個ですか?」という問題。

“袋に6個ずつ”という状況が、頭の中に“映像”として浮かばないと、「6×4」という計算式に結びつきません。文章のまま処理しようとして、混乱してしまうのです。
 

2. 問題文を一度しか読まない

読解力が不足している子ほど、文章題を一度読んだだけで式を作ろうとします。特に、普段の会話で「早くしなさい」と言われがちな子に多く、焦って読み間違えたり、勝手な思い込みで式を立ててしまいます。
 

3. 問題の「問いかけ」を読み取れていない

文章題は、最後の一文で「何を求めるか」が提示されます。

問題:6個入りの袋が4つあります。みかんは全部で何個ありますか?

この「何個ありますか?」が“問い”です。しかし、文章を読む力が弱いと、「6と4があるからとりあえず足して10」といった“なんとなく”で答えようとします。
 


第3章:なぜこの課題は見逃されやすいのか?

理由1:計算が得意=算数が得意と勘違いされる

保護者や先生が、「計算できる=算数ができる」と安心してしまうことがあります。実際には、文章題でつまずいていても、学校の評価では“普通”に見えるため、見逃されやすいのです。
 

理由2:苦手だと言わない・気づかない

子ども自身が「文章題が苦手」と自覚していないケースも多く見られます。「なんかよくわからない」「難しいから嫌だ」と感情で避けてしまい、苦手の根本が明確になりにくいのです。
 

理由3:国語力との結びつきが見過ごされている

文章題=算数と捉えられがちですが、実は“読む力”“問いを整理する力”は国語(日本語読解)の領域です。
ここを鍛えることで、算数の得点にも直結するのに、そこに気づいていない保護者がなんと多いことでしょうか。
 


第4章:どうすれば克服できるのか?

対策1:ロジカルリーディングを日常に取り入れる

文章を読む際、「誰が・何を・どのように・なぜ・結果どうなった?」という5W1Hの視点で整理する習慣をつけましょう。ニュース記事や短い物語でもOKです。

一信塾では、国語だけでなく、算数の文章題にもこの読解の型を応用しています。
 

対策2:図や表で「見える化」させる

文章題を読んだら、いきなり式を作るのではなく、「図に描く」「線分図にする」「表にまとめる」ことで、イメージの具体化を助けます。これは苦手克服の非常に強力な手段です。
 

対策3:「問い」をハッキリ言葉にさせる

最後の問いかけを、子どもに口頭で「この問題、何を聞かれてるの?」と返してみましょう。何を答えなければいけないのかを意識することで、読み流しを防ぎます。
 

対策4:失敗パターンの“見える化”

間違えた問題は、「なぜ間違えたのか」を一緒に振り返ることが大切です。計算ミスではなく、文章の読み間違い・情報の抜け落ちに気づけるように導くことで、論理的な自己修正力が育ちます。
 


おわりに:算数嫌いを作らないために

文章題が苦手=理解力がない、ではありません。
多くの場合、「読めない」「急ぎすぎる」「見えない」の3つが絡み合っているだけです。
 

そこを一つひとつ丁寧にほどいていくのが、我々の指導方針です。
 

目先の正解ではなく、“考えた過程”を大切にすることで、子どもは自信を持ち始めます。
そしてその積み重ねが、算数への苦手意識をなくし、「もっと知りたい」「解けるって面白い」という前向きな学習姿勢へとつながっていきます。

文章題が解ける子は、実は「考える力」が育っている子です。

あなたのお子様にも、その力は必ず眠っています。

 

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